サスセッティングは一応出たとして、今度はアッカーマンを色々試してみます。
テストコースは谷田部アリーナのスポーツコースなので、小さいコーナー主体で回り込みもある、テクニカルなレイアウトです。
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なおアッカーマンを微調整するには、オプションの『アルミステアリングブリッジ』が必要になります。
コーナリング中、車の外側のタイヤは内側より大きなRで、より多くの距離を転がっています。アッカーマンは、ステアリングを切った時に左右の切れ角の差ができる状態を作り、コーナリング中にこれらの差を吸収してスムーズに走らせるために付けられています。
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アッカーマンが大きい(切れ角の差が大きい)ほど外側の切れ角が減り、ロールして外側のタイヤに荷重がのった時、プロポでステアを切った量よりも舵角が少なくなる為、アンダーステアになったように感じます。
一般的に、Rの大きな高速コーナー主体のコースレイアウトでは、アッカーマンを増やしてターンスピードを落とさないようにし、Rの小さな回り込みの多いレイアウトでは、アッカーマンを減らして小さく回れるようにします。
この辺の加減はドライビングスタイルにもよるので、人によってバラバラだったりします。

ステアリングタイロッドの取付け角度変更により、舵角が増えるにしたがってアッカーマンが増えていく量を調整します。
M-08では、ステアリングワイパーのピロボールに挟むスペーサーで前後位置を変更します。
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ステアブリッジの前側にピロボールが来るようにすると、アッカーマンを減らす方向に、ブリッジをひっくり返してピロボールが後ろ側に来るようにすると、さらに増やす方向に調整できます。
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それでは、アッカーマンを思い切り増やした位置を試してみます。
ステアワイパーを引っくり返し、スペーサーを3mm入れてピロボールを後ろへ下げます。
タイロッドの角度は、ほぼ横一直線。
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※アッカーマン変更するとトー角がずれるので、必ず調整をしておきましょう。

コーナー入口でステアを切って曲がり出すタイミングは変わりませんが、ロールが始まると途端に曲がらなくなります。ロールして旋回姿勢を作ってからの回り込みが抑えられ、プロポのステア量に対して曲がりが少なくなりました。狙ったラインに載せようとすると、プロポのEPAを現状の70%→100%にしても曲りが足りないといった感じ。
ターンスピードを落として内側のタイヤに荷重を残すと、小さく曲がる事は出来ますが、立ち上がりでスロットルを開けながらだと、回り込むことが出来ずに外に膨らんでしまいます。
ただし、タイヤが鳴く事は一切なく、グリップ限界以下で走っている状態でした。

次はステアブリッジ後ろ向きで、スペーサー無しにしてみます。
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タイロッドの角度は先程より付きましたが、ステアワイパー前側よりはまだ少ない。

スペーサー3mm時に比べ、ずいぶんと曲がり易くなりました。
プロポのEPA100%でなら十分ラインをトレースして周回できる状態で、問題があるとすれば、小さなS字の切り返しなどではホイールを回す右手が忙しい事。
またコーナー出口でスロットルを開けていくと、外に向かうプッシュアンダーが出る為、リアグリップに気を使う事なく一気にスロットルを開ける事が出来ます。
立ち上がりのスロットルワークに気を遣わなくていいところは、万人向けの設定かもしれない。

さて、ステアブリッジを前側に向けて、さらにアッカーマンを減らした状態はどうなのか?(現状セッティングはこの位置を使ってます)
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プロポのEPAが70%でもコースを周回できるほど、小さく曲がることげできます。プロポのホイール操作量が少なくて済むので、切り返しは楽になります。
ロールによる荷重変化があっても、ステア操作量と車の旋回量が常にリニアな感じに近付きますが、速度に合わせたステア量を間違えると、タイヤから「キュッ」という音が聞こえてきます。
立ち上がりで加速しながらでも、ラインを内に寄せることが出来ますが、ステアに合わせたスロットル操作を誤ると「キュッ」という音がします。
ステアリング操作に対するレスポンスは良いのですが、車速と舵角のバランスを誤ると簡単に失速してしまうため、RWDに慣れている人でないとタイムを出すのは難しいでしょう。

アッカーマン調整は、サスセッティングの最後の味付けであり、ドライバーの好みによるところが大きいので、「コレだ!」という設定はありません。
しかし、車のバランスを大きく変更することなくフィーリングを変えられるので、他所のサーキットや特設コースなどで走る時に、試してみるのもいいでしょう。